伝道の動機
- Ⅰコリン2:2 -
「私は,あなたがたの間で,イエス․キリスト,すなわち十字架につけられた方のほ かは,何も知らないことに決心したからです.」(Ⅰコリン2:2)
「伝道することとは,人々がキリスト․イエスによって神に信頼を置くように,また 彼らの救い主として彼を受け入れるように,そして,彼の教会の交わりにおいて彼らの 王として彼に仕えるように,聖霊の力によってキリスト․イエスを提示することであ る.」(英国教会において1918年に作成された伝道の定義)
なぜ伝道しなければならないのか? 伝道の動機となるものは何か?
1.キリストの伝道命令
「わたしには天においても,地においても,いっさいの権威が与えられています.それゆえ,あなたがたは行って,あらゆる国の人々を弟子としなさい.」(マタイ28:18,19)
「全世界に出て行き,すべての造られた者に,福音を宣べ伝えなさい.」(マルコ16:15)
- これは提案ではなく,命令である.すべてのキリスト者に与えられた,キリスト御自 身の命令なのである.
⑴ キリスト者に与えられた伝道の使命に対して,二つの誤解が見られる.
① あかし人の召命についての誤解:
伝道は,牧師,宣教師など特別な召命を受け,フルタイムで伝道に専心する人ま たは各種伝道団体の任務で,自分の仕事ではないというものである.
② あかし人の資格についての誤解:
自分は経験,教育,才能がないからあかし人になれないというものである.
⑵ 二誤解とともに,三つの欠如しているものがある.
① あかし人にふさわしい,キリストにある心と生活の欠如 - キリストと人々への愛 の心,きよめられた生活の欠如のゆえに,この世と妥協し,積極的に伝道しようと しないのである.
② あかし人にふさわしい備えの欠如 - 聖書の生きた知識と祈りがあれば,必ず聖霊 によって強められ,伝道が可能となるのである.
③ あかし人としての実践の欠如 - 多忙,怠惰,臆病,拒否される不安,そして実践 計画や目標がないのである.
- すべてのキリスト者は,聖霊とみことばと祈りによって,以上の誤解と欠如から解放 され,整えられて,あかし人としての任務を果すべきである.
2.キリストの愛の迫り
「というのは,キリストの愛が私たちを取り囲んでいるからです.」(Ⅱコリン5:14)
⑴ キリストを愛する者,キリストによる真の経験を持ち,キリストが心の中に住ん でいるならば,そのキリスト者は,自分の耳で聞き,目で見,手で触った者し て,キリストをあかしするようになるのである.
3.主に対する恐れ
「私たちはみな,キリストのさばきの座に現れて,善であれ悪であれ,各自その肉体にあって した行為に応じて報いを受けることになるからです.こういうわけで,私たちは,主を恐れ ることを知っているので,人々を説得しようとするのです.」(Ⅱコリン5:10,11)
⑴ 神は愛の神,恵みとあわれみの神であるとともに,義なる審判の神でもある.こ れは聖書が明確に啓示するところである.
⑵ 神は,罪人は愛されるが,罪は憎まれるのである.われわれは,キリストを知ら ないでいる人々がいつの日か審判に遭わなければならないことを信じている.
4.今日の世界の状態
⑴ われわれは,歴史においても最も危機的な時代に住んでいる.今はまさに危急の 時である.
⑵ 人間の性質がキリストによって全く変えられなければ,世界平和の可能性もな い.キリストは,「新しく生まれなければならない」(ヨハネ3:7)と言われた.
⑶ キリストだけが,人間性を変革でき,人々の憎しみを愛に変えることができる. 人間の心に喜びと平和を与えることができるのである.
⑷ われわれの問題は,次の世代まで待つのではなく,この時代において解決すべき である.今こそキリスト者が伝道によって世界に貢献する時である