性に関する聖書の教え
- 創2:24 -
「男はその父母を離れ,妻と結び合い,ふたりは一体となるのである.」(創2:24)
人とのかかわりの中に生きる個人にとって,性は最も重要な関係の一つである.それ はまた,世の中で最も重要であるにもかかわらず,最も歪曲されている.それが歪曲さ れるのは,性の持つ力のゆえである.腐敗への傾向を持つ力は,強力であればあるほ ど,その腐敗への傾向も大きい.
そして聖書は,性について基本的に三つのことを教えている.第1に,性は善である こと,第2に,性は強力な力を持っていること,第3に,性は制御される必要があること である.
1. 性は本質的に善である.
⑴ 性は神が造られたものであり,人間の性のうちに神の善なる性質が反映されてい
るからである.
① 神は,人間を性別を持つ存在として創造された.
「神は…人をご自身のかたちに創造された.…男と女とに彼らを創造された」(創1:27)
② 性が神の存在の一面と似ているのは,性の持つ創造的な力のゆえであり,性の力が 人と人とを結び付け,一心同体にするからである.
「神はお造りになったすべてのものをご覧になった.見よ.それは非常によかっ た」(創1:31)
⑵ 性が本質的に善であることは,神が性的一体化を命じられた事実からも明らかである.
① 神は最初の夫婦に,「生めよ.ふえよ.地を満たせ」と言われた. (創1:28)
② 初めての子供が生れた時,エバは,「私は,主によってひとりの男子を得た」と言った. (創4:1)
2. 性は強力な力を持っている.
⑴ 性の力は,性が人間を殖やし,地を満たすために用いられることに示されている.(創1:28)
⑵ 性の力は,男と女を「一心同体」にする力によって劇的に表現されるだけでなく,性によって生み出されるものによってもあかしされている.
⑶ 人間の親を持つ子供は,神のかたちをもって生れてくる.アダムは,神のかたちにかたどって創造された.
① 神のかたちにかたどって造られた子供の親になった.(創9:6,ヤコブ3:9)
② 人間の性的プロセスによって,多くの人が生れただけでなく,多くの小さな神のかたちを持つ人々が生れたのである.
- この意味でイエスは,詩篇82:6を引用して,「わたしは言った,あなたがたは神である」と言われた. (ヨハネ10:34)
③ 性によって生れる人間の本性が十分に価値を認められる時,性が地上における最も意義ある力の一つであると言っても過言ではない.
3. 性は制御される必要がある.
⑴ 性の力が適正に生かされるためには,その力を正しく制御し,規制することが必要になる.
① 幼い子供がダイナマイトをもてあそぶのを許す人はいない.また,核兵器を一般の人に手渡す政府もない.性は,ある意味でダイナマイトや核兵器よりも強力な力を持っている.
⑵ 性は,生殖の力であるだけでなく,快樂をもたらす力でもある.
① 快樂が本質的に善であるとしても,すべての快樂が善であるわけではない. この意味でも,性を制御しなければならない.
② 強姦やサド的性犯罪を,それが加害者に性的快樂をもたらすという理由で是認することはできない.
⑶ 聖書によれば,善でありかつ強力な性の力を正しく方向付け規制するために,神が定められた手段は結婚である.
① 初めに神は,「それゆえ,男はその父母を離れ,妻と結び合い,ふたりは一体となるのである」と言われた.(創2:24)
② イエスは,それに加えて,「それで,もはやふたりではなく,ひとりなのです」と言われた. (マタイ19:6)