聖地エルサレム-嘆きの壁-(イスラエル)

壁に向かって祈るユダヤ教徒たち。翌日の金曜夜、ユダヤ人の安息日にここを訪れたらものすごい人出で、一面真っ黒でした

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堅固な城壁に囲まれた、エルサレムの巨大な旧市街。細い通りが縦横無尽に走るこの歴史ある街を、わけがわからないままやみくもに歩き回っていたら、突然ぽっかり開けた広場に出ました。

そこにはテレビや写真などで、何度も見かけたことのある光景が。黒服に身を包んだ人々が、壁に向かって祈りを捧げています。「アッ、もしかしてこれが嘆きの壁!?」ユダヤ民族の心の故郷といわれるこの有名な場所に、意図せずたどり着いてしまったので不意打ちをくらいました。

壁は2分され、男女が入れる場所が分かれています。そこで祈りを捧げるユダヤ教徒の格好は非常に印象的。男性は頭にシルクハットのような黒帽子、もしくはカッパの皿のような平たく小さい帽子をかぶり、もみあげを長く伸ばしています。これはもみあげに刃をあててはいけないというユダヤの戒律のため。小さな男の子でさえカッパ帽&ロングもみあげというスタイルなので、珍しくてついじいっと見入ってしまいます。

壁の背後の高台は神殿の丘と呼ばれ、預言者ムハンマドが昇天した場所に岩のドームが建っています。イスラム教徒の聖地である岩のドームはちゃんとした建物ですが、なぜ嘆きの壁は単なる壁なのか?疑問に思って資料を読みました。それによるとかつて神殿の丘にはユダヤ人の神殿がありましたが(前960年ソロモン王時代に完成のイスラエル神殿と、前515年に再建された第2神殿)、70年にローマ軍により破壊され、残ったのがこの壁の部分なのだそうです。

かつて故国を失って世界各地に散らばり、長い間差別や虐待を忍んできたユダヤ人。居住国の人と同化し、他教に改宗した人も多いなか、いまだにこうして独自の宗教や言語を守る人々を目の当たりにすると、彼らを導く力がどんなに強いものだったかと、感慨にふけらずにはいられません。