パウロの生涯
- 使26:14-18 -
1.出生と背景
⑴ キリキヤのタルソ出身のユダヤ人、ヘブル名はサウである.
⑵ 少年期からパリサイ派の厳格な教育を受けた.(使22:3)
⑶ ローマ市民権を持ちヘレニズム文化にも通じギリシヤ語も話した.
2.使徒となる前
⑴ パウロは、十字架で死んだイエスをメシヤと信じるキリスト教徒は神を冒涜していると考え,教会撲滅を使命とし信者を容赦なく投獄した.
⑵ 彼は教会史上最初の殉教者ステパノの殺害に関係した. (使7:58)
3.使徒としての働き
⑴ ダマスコ途上での劇的回心(使9章)以來,彼はキリストの使徒となり,殉教までの約34年間,世俗哲学,異教,皇帝崇拝に満ちたローマ世界に3回の伝道旅行を実行し,福音を伝え教会を設立した.
① 第1回伝道旅行 - 本格的異邦人伝道の幕開けとなり(使13, 14章), 福音はキプロスと南ガラテヤ地方に伝えられた.
② 第2回伝道旅行 - 福音は初めてアジヤからヨ-ロッパへ渡り,ギリシヤ地方に伝えられた.(使15:40-18:22)
③ 第3回伝道旅行 - 小アジヤと以前伝道した地方を再訪して教会を強めた. (使18:.23-21:17)
⑵ エルサレム帰還中,彼はユダヤ人の訴えによって逮捕され裁判のためにローマへ護送された.
⑶ ローマでの2年間の軟禁中も彼は福音を伝えた. (使28章)
⑷ 釈放後,彼は再び各地を巡回伝道し,一説にはスペインまで足を伸した.しかし再逮捕され,ネロ皇帝統治下のローマで67年頃打ち首によって殉教したと言われる.彼はキリスト教宣教史上,誰よりも大きな足跡を残した.
4.信仰と神学
⑴ 彼は福音の全体を説いて,教会の信仰をユダヤ教的,異教的思想から守り,健全な教理の上に建て上げることにも力を注いだ.
⑵ 彼の13の手紙(「ローマ人への手紙」から「ピレモンへの手紙」)は各地の信者にキリストにある生き方を教え,福音の正しい理解と励ましを与えるものであった.
⑶ パウロ神学の中心的特徴は,ユダヤ的背景を持ちながらも,受肉した神の子キリストの贖いに焦点を当てていることである.
① 神の愛はキリストの贖いのみわざの中に具体的に現された.
② 人はこのキリストを信じる信仰によって義と認められる.
*「パウロの生涯の略年譜」
年 代 | 事 項 | 年 代 | 事 項 |
紀元33年 36-46 46-48 48 49 49-52 50-51 53-58 55-56 57 | ダマスコ途上で回心 タルソで生活 第1回伝道旅行 ガラテヤ人への手紙執筆 エルサレム教会会議 第2回伝道旅行 テサロニケ人への手紙執筆 第3回伝道旅行 コリント人への手紙執筆 ローマ人への手紙執筆 | 58 58-60 60-61 61-63 63 63-67 67 | 最後のエルサレム訪問 カイザリヤ幽閉 ローマへの護送 ローマでの軟禁 獄中書簡の執筆 釈放 自由な活動 スペイン伝道 牧会書簡執筆 再逮捕投獄 Ⅱテモテ執筆 殉教 |