喜びのおとずれを伝えること
‐ ルカ福音書1:19 -
シャローム宣教会
[ルカ福音書1:19]「御使いは答えて言った。『私は神の御前に立つガブリエルです。あなたに話をし、この喜びのおとずれを伝えるように遣わされているのです。』
序言
本文、ルカ福音書1:19から、御使いガブリエルが祭司ザカリヤに語ったことばを取り上げます。
19節の「遣わされているのです」は、正確には「アポステッロー」άποστέλλωのアオリスト受動態で「遣わされました、派遣されました」の意味です。
また、「喜びのおとずれを伝える」は、「良い知らせを宣べ伝える」とも訳されます。「ユーアンゲリゾー」εύαγγελιζωは、ルカにおいてきわめて重要な動詞で、ルカ福音書では10回使われています。ルカの使徒の働きでは15回の使用頻度です。名詞の「ユーアンゲリオン」 εύαγγελιοvは新約聖書で76回も使われながら、ルカ福音書では1度も使われていません。
1. 御使い(天使)
(1) 御使い
御使いはみな、仕える霊であって、救いの相続者となる人々に仕えるため遣わされた霊的な存在です。新約聖書、旧約聖書に書かれた天使に関する直接的な表現は300以上あります。<參考, 御使いの実在; http://shmission.com/xe/68806>
[ヘブライ書1:14]「御使いはみな、仕える霊であって、救いの相続者となる人々に仕えるため遣わされたのではありませんか。」
[マタイ福音4:11]「すると悪魔はイエスを離れて行き、見よ、御使いたちが近づいて来て仕えた。」
[ヨハネ福音書20:13]「彼ら(ふたりの御使い)は彼女に言った。「なぜ泣いているのですか。」彼女は言った。「だれかが私の主を取って行きました。どこに置いたのか、私にはわからないのです。」
(2) 御使いガブリエル
御使いガブリエルは、キリスト教の伝統の中で「神のメッセンジャー」という役割を担うことが多い。たとえば『ルカ福音書』では祭司ザカリアのもとにあらわれて洗礼者ヨハネの誕生をつげ、マリアのもとに現れてイエス・キリストの誕生を告げる。
+ 御使いガブリエルは、新約聖書に2回(ルカ福音書1:9、1:26)、旧約聖書に2回(ダニエル書8:16、9:21)書かれています。
[ルカ福音書1:19]「御使いは答えて言った。「私は神の御前に立つガブリエルです。あなたに話をし、この喜びのおとずれを伝えるように遣わされているのです。」
[ルカ福音書1:26-27]「26. ところで、その六か月目に、御使いガブリエルが、神から遣わされてガリラヤのナザレという町のひとりの処女のところに来た。27. この処女は、ダビデの家系のヨセフという人のいいなずけで、名をマリヤといった。」
2. 喜びのおとずれを伝えること
「喜びのおとずれを伝える」ことは、ルカが最も重要視していることです。このために、ルカは「福音書」とそれに続く「使徒の働き」を書いたと言えます。それを手繰っていくことで何が見えてくるでしょうか。
= ルカ福音書では10回使われています(1:19/2:10/3:18/4:18/4:43/7:22/8:1/9:6/16:16/
20:1)。ルカの使徒の働きでは15回の使用頻度です(5:42/8:4/8:12/8:25/8:35/8:40/
10:36/11:20/13:32/14:7/14:15/14:21/15:35/16:10)。
(1) 喜びのおとずれを伝える使者
+ 福音書
御使いからパプテスマのヨハネへ、そしてイエス・キリストへ、そしてイエスの弟子たちへとバトンが受け渡されていきます。
+ 使徒の働き
教会が誕生してからは、使徒たち。エルサレムから散らされた人々。伝道者ピリポ。ペテロ。パウロとバルナバ。
(2) 喜びのおとずれが伝えられた人々
+ 福音書
祭司ザカリヤ。羊飼い。民衆、貧しい者。病いのある人々。女性たちなど。
+ 使徒の働き
宮に来る人々や家々の人々。サマリヤの人々。エチオピアの宦官。
カイザリヤの敬神者コルネリオ。キプロス人。クレネ人。ギリシャ人。小アジアに住む人々。
(3) 喜びのおとずれが伝えられた場所
+ 福音書
エルサレムの「神殿」からダビデの町「ベツレヘム」へ。「荒野」。そしてイエスの郷里である「ナザレ」。「ガリラヤの村々」から「ユダヤ全土」へ。
+ 使徒の働き
エルサレムの宮、家々。サマリヤ。港町カイザリヤ。アンテオケ。ピシデヤのアンテオケ。イコニウム。ルステラ(ここまでは第一次 伝道旅行)・・アジアからヨーロッパー。そしてローマへ。
結言
エルサレムの神殿から始まった「喜びのおとずれを伝える」宣教の働き、「喜びのおとずれ」である福音をまだ聞くこともなく知らずにいる多くの人々のために、御使いガブリエルから始まった「喜びのおとずれを伝える」宣教の働きを担う人々の存在があったことをルカは私たちに伝えようとしています。私たちもそのために主から選ばれた者として、聖霊の力によって、多くの人々に福音を宣べ伝えていかなければなりません。再び、主がこの世に来られるまで。