初代教会の執事
- 使徒行伝6:1-6 -
[インマヌエ 下巻.10-13]
[使徒行伝6:1-6] 「1 そのころ、弟子たちがふえるにつれて、ギリシヤ語を使うユダヤ人たちが、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して苦情を申し立てた。彼らのうちのやもめたちが、毎日の配給でなおざりにされていたからである。2 そこで、十二使徒は弟子たち全員を呼び集めてこう言った。「私たちが神のことばをあと回しにして、食卓のことに仕えるのはよくありません。3 そこで、兄弟たち。あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判の良い人たち七人を選びなさい。私たちはその人たちをこの仕事に当たらせることにします。4 そして、私たちは、もっぱら祈りとみことばの奉仕に励むことにします。」 5 この提案は全員の承認するところとなり、彼らは、信仰と聖霊とに満ちた人ステパノ、およびピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、アンテオケの改宗者ニコラオを選び、6 この人たちを使徒たちの前に立たせた。そこで使徒たちは祈って、手を彼らの上に置いた。」
[第一テモテ3:2-5] 「2 監督はこういう人でなければなりません。すなわち、非難されるところがなく、ひとりの妻の夫であり、自分を制し、慎み深く、品位があり、よくもてなし、教える能力があり、3 酒飲みでなく、暴力をふるわず、温和で、争わず、金銭に無欲で、4 自分の家庭をよく治め、十分な威厳をもって子どもを従わせている人です。5 ―自分自身の家庭を治めることを知らない人が、どうして神の教会の世話をすることができるでしょう。―」
1. エルサレム教会の七人の執事の任命
(1) 任命の理由
① 聖徒たちを顧み、教会を管理させるため(使徒行伝6:1-3)
② 使徒たちが祈りと御言葉の宣教に専念するため(使徒行伝6:4)
(2) 任命の方法
① 聖徒の中から、聖霊と知恵に満ち、評判の良い人七人を選ぶ。(使徒行伝6:3)
② 使徒たちが祈り、按手して任命する。(使徒行伝6:6)
◈ 任命のための按手:ヨシュアは按手を受けることによって、モーセの後継者として任命された(民数記27:18、23)。旧約のレビ人たちも按手を受けて、幕屋で働くことのできる祭司として任命された(民数記8:12-15)。新約の教会では、執事(使徒行伝6:6)、宣教師(使徒行伝13:2-3)なども按手によってその職分が認められたが、按手式は信仰共同体の中で、神の指導者に対する賜物と召しを確証するために必要なものであった。テモテの場合においては、手を置くという行為が霊的な賜物を分かち与えることと関連していた(第一テモテ4:14、第二テモテ1:6)。
◈ 七人の執事の名: ステパノ、ピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、ニコラオ
2. 執事の資格
◎ 聖霊と知恵に満ち、評判の良い人(使徒行伝6:3)
(1) 執事の資格
① 謹厳で(第一テモテ3:8)
② 二枚舌を使わず(第一テモテ3:8)
③ 大酒飲みでなく(第一テモテ3:8)
④ 不正な利をむさぼらず(第一テモテ3:8)
⑤ きよい良心をもって信仰の奥義を保って(第一テモテ3:9)
⑥ 非難される点がない(第一テモテ3:10)
⑦ ひとりの妻の夫であって、子どもと家庭をよく治める人(第一テモテ3:12)
(2) 婦人執事の資格
① 威厳があり(第一テモテ3:11)
② 悪口を言わず(第一テモテ3:11)
③ 自分を制し(第一テモテ3:11)
④ すべてに忠実な人(第一テモテ3:11)
3. 任命された執事たちの活動とその結果
(1) ステパノ執事の活動とその結果
① 恵みと力に満ちていた。(使徒行伝6:8)
② 民衆の間で大きな奇跡としるしを行った。(使徒行伝6:8)
③ 多くの会堂で論争し、勝利した。(使徒行伝6:9)
④ 知恵と聖霊によって御言葉を証しした。(使徒行伝6:10)
⑤ 公会においてキリストについて説教した。(使徒行伝7:1-53)
⑥ ユダヤ人たちが投げた石に打たれて殉教した。(使徒行伝7:54-60)
(2) ピリポ執事の活動とその結果
① サマリアに福音を伝えた。(使徒行伝8:5)
② しるしを行った。(使徒行伝8:7)
③ 洗礼を授けた。(使徒行伝8:12)
④ エチオピアの宦官に伝道した。(使徒行伝8:36)
⑤ パウロ一行を自分の家に泊まらせた。(使徒行伝21:8)
⑥ 預言する四人の未婚の娘がいた。(使徒行伝21:9)
(3) 執事の職務を忠実に果たした結果
① 神の御言葉が力強く広まった。(使徒行伝6:7)
② 弟子たちの数が増えた。(使徒行伝6:7)
③ 祭司たちの多くがイエスを信じた。(使徒行伝6:7)
*** 初代教会における執事(Deacon)は、教会の重要な職分の一つであり、使徒たちの働きを助け、共同体の実際的な必要に奉仕する役割を担った。初代教会の執事は、教会が成長するにつれて救済の問題(特にヘレニストの未亡人たちの差別問題)が発生したため、使徒たちが御言葉と祈りに専念できるよう、七人を立てて奉仕の務めを任せたことが執事の始まりであった(使徒行伝6章)。そして、執事の核心的な役割は、貧しい人々、未亡人、孤児などを世話すること、行政および実務に奉仕すること、特に使徒たちが御言葉と祈りに集中できるよう支援することであった。
