新約単篇ヨハネによる福音


「神の家」とイエスの思い
ヨハネ2:13-22


ヨハネの描くこの記事には、二つの謎が含まれています。一つは、弟子たちさえ驚いたという、イエスのお言葉と行動の激しさです。「神の家への熱心が私を食い滅ぼす」は詩篇(69:10)の言葉です。詩篇の文脈からの趣旨は、「その自分を焼き滅ぼす程の熱意が、同胞の憎しみを買って、異邦人扱いされる」ことです。神殿を管理する宗教家から排斥されて追放されるだけでなく、「熱心」はイエス自身の身の破滅をも招いて、十字架刑に繋がることを、「私を食い滅ぼす」という言葉が暗示します。


もう一つの謎は、「この神殿を破壊せよ。私は三日でそれを建て直す」という極端な発言です。弟子たちは、イエスが死から復活するのを見るまでは、「この神殿」がイエスご自身の体のことだとは理解できなかったと言います。二つの謎を一つに結ぶのは、「あなたの家」という言葉です。「あなた」は神を、「家」はヘロデが造営した神殿を指していた筈です。


今朝は、この前半と後半の謎を、それぞれ簡潔に解明してから、イエスのお考えの中で二つのものが、どう繋がっていたか、またこの二つを結ぶ論理が、私たちを生かす福音へどう発展するかを考えます。私は毎年、降誕祭前後になりますと、神殿の境内から商人たちを、縄の鞭を振るって追い払われる、イエス様の姿を思い起こします。福音も信仰も無縁の年末の商戦を見て、またニューヨークの巨大なツリーの点灯を見て、イエス様ならどうおっしゃるか……どうなさるか……です。

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神の家とイエスの思い.pdf

 

http://erinika.life.coocan.jp/data-TN/NT-JOH-0213-2003.pdf