旧約聖書における神の国
- イザヤ書9:5~6 -
[インマヌエル 上巻.1-17]
[イザヤ書9:5-6]「5 戦場ではいたすべてのくつ、血にまみれた着物は、焼かれて、火のえじきとなる。6 ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる。ひとりの男の子が、私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は「不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」と呼ばれる。」
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主イエスの神の国についての教えは、旧約聖書の背景に深く根ざしている。旧約聖書は、唯一の生きておられる真の神が王として統治している事実を宣言している。
1. 宇宙の王として
(1) 神は天地を創造し、その巧みな手で統治される。(創世記1:1、詩篇95:3~5)
[創世記1:1]「初めに、神が天と地を創造した。」
[詩篇95:3~5]「3 主は大いなる神であり、すべての神々にまさって、大いなる王である。4 地の深みは主の御手のうちにあり、山々の頂も主のものである。5 海は主のもの。主がそれを造られた。陸地も主の御手が造られた。」
+ 万物の創造主である神の統治について、旧約聖書全体が言及している。
+ 神の統治は、主イエスの神の国についての教えの重要な基盤である。
(2) 神の統治、神の王権は広大である。(詩篇19:1~4)
[詩編19:1~4]「1 天は神の栄光を語り告げ、大空は御手のわざを告げ知らせる。2 昼は昼へ、話を伝え、夜は夜へ、知識を示す。3 話もなく、ことばもなく、その声も聞かれない。4 しかし、その呼び声は全地に響き渡り、そのことばは、地の果てまで届いた。神はそこに、太陽のために、幕屋を設けられた。」
+ 人間の宗教的な領域に関与する。
+ 人生の全領域、全人類、すべての国に関与する。
+ 人間だけでなく、万物と宇宙全体にまで及ぶ。
2. イスラエルの王として
(1) 全世界は、神の統治下にあり、すべての民が意識を持つか持たないかにかかわらず、神の恵みによって維持されている。
(2) イスラエルの民は、神の統治を意識的に受け入れ、恵みに応答する使命が与えられた。このような意味で、神はイスラエルの真の王である。(申命記33:5、1サムエル書12:12)
(3) 現実のイスラエルは、神から与えられた使命を果たせず、罪の中に陥り、約束の地から追放され、捕虜となる経験をする。
(4) 悲惨な現実の中で、神は民を解放し、救い主、王としてご自身を現わし、民を敵の手から救い、約束の地に帰らせる。(イザヤ書34:12、44:6、52:7、エゼキエル書20:33、ミカ書2:12-13)
3. メシア(キリスト)待望
(1) 捕囚からの解放への希望は、シオンにおける神のすべての民に対する統治と結びついている。(イザヤ書24:23、ミカ書4:6-7、ゼカリヤ書14:9-17)
(2) この希望は、ダビデの子孫である油を注がれた者(メシア)と関係する。(イザヤ書9:6-7、11:1-5、エレミヤ書23:5-6、エゼキエル書34:23-24、37:24-25、ゼカリヤ書9:9-10)
(3) この新しい理想的な統治者によって神の統治が具体的に実現されるメシア待望となってきた。
(4) 主イエスは、旧約聖書に一貫した神中心の宣言に固く立ち、生ける神が驚くべき規模と方法で救いの御業を行い、自らの統治を成し遂げるという事実を、神の国の理念に基づいて伝えている。