創造科学に対する評価・反応や社会的なできごと

多くの自然科学者の評価

査読のある科学雑誌では創造科学を支持する論文が掲載されることはなく、通常の意味においての科学者で創造科学を認めている人はほとんどいない。主要な科学者団体は、創造科学を進化論などに比肩し得る学術的内実と検証に耐える厳密さ、学究的良心を備えているとは認めておらず、むしろ典型的な疑似科学であると考えている。それらの科学者の多くは、聖書の記述が事実を描写したものであるかどうかを科学的に検証することはできないと考えている。

アメリカへの影響

なぜ、アメリカ合衆国で創造科学が影響力を持つに至ったかについては、「ウィリアム・ジェニングズ・ブライアンによる組織化による影響が大きかったとされている。ブライアンは3度民主党大統領候補となった人物であり、婦人参政権、累進課税等の進歩的制度をアメリカに導入した人物である。

「ブライアンは、ダーウィニズムを社会に援用しようとする社会進化論が、ナチス・ドイツやアメリカにおける優生思想を正当化する理論の根拠となっていることに危機感をもっていた。また自然淘汰説を、敵を排除することで生き残ろうとする反キリスト教的理論と理解していた。アメリカに反キリスト教の動きが広がることを阻止するため、ファンダメンタリストと結びつき、進化科学を公立学校で教えることを禁止する法律をつくるよう推進したのである。」と分析されている。 現在でも、このブライアンの考え方は南部州を中心に根強く残っており、進化論に対して否定的な意見を持つ者が多い。

裁判

創造科学の問題は実際に裁判で争われている。アメリカ合衆国ルイジアナ州の「公立学校教育法における創造科学と進化科学の均衡的取り扱い」という法律についての裁判において、1987年、連邦裁判所は創造科学は反証可能性をもたないので科学ではないと結論し、この法律に違憲判決を下している。

2005年にはペンシルベニア州でも同州のドーバー学区が高校の生物の授業に創造科学教育を導入しようとした。しかし保護者の訴えにより起こった裁判で同州連邦地裁は同年12月20日創造科学教育に違憲判決を下した。ジョーンズ判事は創造科学は「科学理論ではなく宗教的見解」だと判断し、創造科学の目的は「公立学校で宗教を教えることにある。信じられない愚行だ」と述べた。

日本での創造科学

日本における創造科学は比較的新しい分野である。よくアメリカの福音派や南部の教会の影響を受けたなどといわれるが、それは誤りである。キリスト教(プロテスタント)の教会にもその存在自体が少しずつ浸透してきている。これまでは教会内でも無益と思われる論争をさける傾向があり、科学と宗教は別物であるとされてきた。これは一般的にも同様で、一部を除いて論争にすらならなかった。だが近年は創造論に基づくキリスト教雑誌も複数刊行されはじめており、はっきりと創造科学を支持する信者の数がわずかながら増加しているようである。


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