ガリヤラ湖とガリラヤ地方
不可欠な湖ガリラヤ湖
国土の6割を砂漠が占め、年間で50日ほどの降雨しかないイスラエルにとって、イスラエル最大の湖であるガリラヤ湖はイスラエルを潤す重要な水がめです。 湖の形が竪琴に似ていることから、ヘブライ語で竪琴を意味するキノールに由来してキネレットとも呼ばれています。旧約聖書ではキネレテの海(民数紀34章11)やキネレテ湖(ヨシュア記13章27)として登場しています。
湖へは主に、雪解けのヘルモン山やゴラン高原などに源を発しているヨルダン川の水が流れこみ、その後水は、湖の南端から流れ出し死海へ向かいます。
湖は淡水湖で海抜マイナス213メートルと、湖としては世界一海抜が低い湖く、大きさは南北約21キロ、幅約12キロ、湖の周囲が57キロメートルで167平方キロメートルの面積を持ち、水深は最大で44メートルに達しています。
湖水は、飲用・生活・工業・灌漑用として広く利用されていますが、現在水量の激減が重要な問題となっています。
イエスキリストゆかりのガリラヤ地方
新約聖書にはガリラヤ湖とその周辺の地域を舞台にした、イエスキリストの活動が書かれています。
イエスキリストの時代、ガリラヤ地域はヨーロッパとエジプトの交通の要所であったため大きな通路があり、都市が築かれ、マタイ4章15節に「異邦人のガリラヤ」と書かれているように異邦人が多く住んでいました。
またヨハネ7章52節には、 ”彼らは答えて言った、「あなたもガリラヤ出なのか。よく調べてみなさい、ガリラヤからは預言者が出るものではないことが、わかるだろう」” とこの地域について論じられています。
しかしながら新約聖書を読むと、イエスキリストの活動はほとんどがこのガリラヤ湖周辺で行われています。
「心の貧しい人々は幸いである・・・」という言葉から始まる有名なイエスの山上の垂訓の説教は、ガリラヤ湖を見下ろす丘の上で行われました。ガリラヤ湖で猟師をしている者から弟子たちを選ばれたり、5つパンと2匹の魚で5000人の飢えを満たしたという奇跡や、船上で嵐をしずめる場面、ガリラヤ湖の湖上を歩くなど、新約聖書にはガリラヤ地方を伝道の中心とされていた様子が書かれています。
そのため ガリラヤ湖周辺には聖書に関する記念の教会が建ち、イスラエルの有名な観光スポットのひとつとなっています。
水不足の危機
近年ガリラヤ湖の水量は、降水量の低下や家庭用水や農業・工業用水の増加などの要因などで深刻な水不足となっています。
イスラエルの国民も、ガリラヤ湖の水位がどれくらいなのかと大変関心を寄せていて、公共放送などでは節水が呼びかけられています。
ガリラヤ湖の水位を言う時には、海面を基準に「マイナス何メートル」という言い方をします。
1932年にデガニヤ・ダムが設置されて以来、ガリラヤ湖の通常の水位はマイナス208.80メートルとされ、危険水位はマイナス213メートルと決められました。
この数値は、湖に塩分が増える恐れや、湖底のリンにより湖の藻などが増加し生態系のバランスが変化する恐れ、また湖一帯の観光産業や波止場、吸水施設への影響などを考慮してイスラエル政府が決定したものです。
イスラエルに関心のある方から、「ガリラヤ湖の水位は今はどれくらいなのでしょう」という質問を受けることがあります。 通常水位は標準レベルが海抜マイナス208.80メートルとされていますので、危険水位のマイナス213メートルというと4.2メートルも低い状態です。
近年の水位の変化見てみましょう。
最低水位 | 最高水位 | |
1993年 | -209.99 | -208.91 |
1994年 | -211.1 | -209.14 |
1995年 | -211.08 | -209.11 |
1996年 | -211.64 | -209.7 |
1997年 | -212.24 | -210.34 |
1998年 | -212.24 | -210.34 |
1999年 | -213.28 | -211.87 |
2000年 | -213.8 | -211.92 |
2001年 | -214.87 | -213.05 (過去最低レベルを記録した年です) |
2002年 | -214.67 | -213.16 |
2003年 | -214.07 | -209.7 |
2004年 | -211.03 | -208.86 |
2005年 | -211.7 | -209.63 |
2006年 | -212.2 | -210.67 |
2007年 | -212.18 | -211.06 |
2008年 | -214.43 | -212.05 |
2009年 | -214.37 | -213.26 |
2010年 | -214.115 | -212.66 |
2011年 | -214.02 | -212.34 |
2004年に大量の降雨があり、-209メートル近くまで水位が上昇しましたがその後少雨が続き水位は下降の傾向が続いています。
最近の水位の変化
詳しい水位の変化はこちらのホームページから見ていただくことができます。
水位の変動をグラフで確認することができます。
このグラフでは、上の方の赤いラインが通常水位のマイナス208.80メートルで、下の方の赤い点線は危険水位のマイナス213.18メートルです。その下には最も危険水位とされているマイナス214.4メートルが黒いラインで示されています。 カーソルを近づけると水位と観測された日付が表示されます。
(グラフが表示されるまで少し時間がかかる場合があります)
ガリラヤ湖の水位の低下と共に、湖から注ぎだし死海へと流れるヨルダン川の水量も低下し、死海の水量も激減しています。 このような水不足の解決のため、イスラエルの水道管理局は淡水化プラントを新設をして水不足に対応していくと発表していますが、この水不足を解決するにはまだまだ時間がかかる模様です。
http://www.zion-jpn.or.jp/israel_galilee.html