聖書の構成と概略
ー Ⅱテモテ3:15ー17 ー
聖書は旧約聖書と新約聖書から成り,両者は時代的にキリストの降誕を境にし,すなわち西暦の紀元前B.C.と紀元後A.D.によって分けられる.
1。旧約聖書
旧約聖書は39の聖書より成り,その内容から,律法(五書),歴史書,詩書,預言書の四つに区分され,おのおのにはイスラエル民族の歴史が織り込まれている.
旧約聖書の時代的な流れをまとめると;
⑴ 緒言;
① 天地創造から,人間の創造,堕罪,ノアの洪水を経て,イスラエル民族の祖アブラハムの 召命まで.
⑵ 族長時代;
① アブラハムがメソポタミヤの地を出て,神の約束の地カナンに到着․放浪し,イサクに至る.
② ヤコブの晩年にエジプトに移住し,エジプトの支配をゆだねられていた息子ヨセフの保護を受ける.
③ エジプトにおいてヤコブの息子たちの子孫は数百年にわたって増え続けるが,その間の記事はない.
⑶ イスラエル民族形成時代;
① 強くなりすぎた民は,エジプト王の圧迫を受け,モーセの指導のもとにエジプトを脱出 し,荒野を40年にわたって流浪する.
⑷ 征服と定着時代;
① ヨシュアによるカナンの土地の侵攻と分配,及び外敵からの救助者としての士師たちの活動.
⑸ 統一王国時代;
① 士師時代の最後に預言者サムエルが登場し,王制が導入され,サウルが初代の王となる.
② ダビデ,ソロモンの時,イスラエルは最も繁栄し,とりわけダビデ王家による永遠の支配の約束が,以後のイスラエル民族にかかわる信仰とメシヤ観に影響を及ぼすことになる.
⑹ 分裂王国時代;
① ソロモンの死後,ダビデ王家を継ぐ南王国ユダと,北方のサマリヤを首都とする北王国イスラ エルに分裂するが,北王国が先にアッシリヤによって滅亡し,以後南王国単独王朝が続く.
⑺ 捕囚時代;
① 新バビロニヤによりエルサレムが破壊され,南王国の民はバビロンに捕囚となり,その地 でイスラエル人共同体を形成する.
⑻ 回復時代;
① 祖国を慕い信仰に燃えた一部のイスラエル人が,捕囚の地から数回にわたって帰国し,エ ルサレムに第2神殿を建て,エズラ,ネヘミヤによる指導で国の復興に手がつけられる.
2。新約聖書
新約聖書は27の聖書から成り,四つの福音書,使徒の働き,書簡群,黙示錄に区分される.
旧約聖書と比べれば時間的にはほんのわずかでしかないが,新約聖書はこの短期間をキリストに焦点を合せ,そこに登場する人物もキリストによって生きることを記述する.
時代的な流れと内容をまとめると;
⑴ キリストの誕生,生涯,死,復活,昇天
⑵ 弟子たちの伝道,教会形成
⑶ 具体的な教会活動
⑷ 教会の将來,終末