サタンについて
- 使10:38、 ヨハネ12:31、 Ⅰヨハネ3:8 -
1. 元來は「敵対者」という意味である。
⑴ 旧約聖書においてサタンへの言及はまれである。
① ヨブ12章では「神の子ら」と共に,神の前に姿を現す.サタンの活動がヨブに対して敵 対するものであることは明らかである。
② サタンはダビデに人口調査をするように誘った。(Ⅰ歴21:1)
③ 大祭司ヨシュアを訴えるためにその右手に立ち(ゼカ3:1),結局「サタンよ.主がおまえ をとがめている」と言われている。(ゼカ3:2)
④ 詩人はサタンが人の右手に立つことを悲惨なことと解釈し,これを報復の表現として用い ている。(詩109:6)
⑵ 新約聖書ではサタンを次のように呼んでいる.
① 悪魔(マタイ4:1、 ルカ4:3、 ヨハネ8:44、使10:38) ② 試みる者(マタイ4:3)
③ 誘惑者(Ⅰテサ3:5) ④ 悪い者(マタイ13:19)
⑤ 告発者(黙12:10) ⑥ 敵(マタイ13:39、 ルカ10:19)
⑦ 悪霊どものかしら(マタイ9:34、 マルコ3:22) ⑧ この世を支配する者(ヨハネ12:31)
⑨ 空中の権威を持つ支配者(エペソ2:2) ⑩ 悪霊の頭ベルゼブル(マタイ10:25, 12:24)
2. サタンは常に神への敵対者(ルカ22:3)、また神の計画を妨害する者として描かれている。(マルコ4:15)
⑴ イエスの働きの初めに,そのわざをむなしいものとしようとして悪魔が誘惑したことを記す。 (マタイ4:1ー11、 ルカ4:1ー13)
⑵ 彼は悪霊に命じて人の心に住まわせる。(マタイ12:22ー29、 マルコ3:22ー27)
⑶ イエスの弟子たちに働きかける。(マタイ16:23)
⑷ 主の受難においてはサタンがユダに入ったと言われている。(ルカ22:3、 ヨハネ13:27)
⑸ アナニヤ,サッピラの心を奪う。(使5:3)
⑹ 宣教の働きを妨害する。(Ⅰテサ2:18)
⑺ 巧妙で活動的存在としてキリスト者のあり方に公然と敵対している。(使13:10)
3. イエスがこの世に來られた明白な目的は,まさに「悪魔のしわざを打ちこわすため」にほかならなかった。(Ⅰヨハネ3:8、 ヘブラ2:14)
⑴ ペテロは「悪魔が,ほえたけるししのように,食い尽くすべきものを捜し求めながら,歩き回っています」と表現している。(Ⅰペトロ5:8)
⑵ パウロは悪魔の巧妙さに注目して「サタンさえ光の御使いに変装する」と指摘している。(Ⅱコリン11:14)
⑶ 「主に依り頼み,その偉大な力によって強くなりなさい。悪魔の策略に対抗して立つことができるように、神の武具を身に着けなさい。」と言っている。(エペソ6:10ー12, ヤコブ4:7)
⑷ サタンはキリストの生涯と死,そしてよみがえりにおいてすでに敗北した者であり,この敗北は世の終りに決定的に明らかになり,御国は完成されるのである。(Ⅰコリン15:24)