主の使い(天使)について
ー マタイ1:20、使10:3 ー
ヘブル語でもギリシヤ語でも,「主の使い」と訳されている語は「使者」(メッセンジャー)
を意味する.そして天において神に仕える超自然的で霊的な人格的存在を指すほか,人間を指してこの語が使われている場合もある.
1.旧約聖書における主の使い
⑴ 神のメッセンジャーとしての天使を指している。(創16:7、22:11、24:40、 Ⅱサム24:16)
⑵ 神のメッセンジャーとしての預言者を指している。(歴下36:15、16、 イザヤ42:19、
44:26、 ハガイ1:13)
⑶ 神に仕える超自然性を持った霊的被造物を指している。(出23:20、 イザヤ63:9)
- 天使的存在で超人的な力ある象徴的生きものとしては,ケルビムやセラフィムも旧約聖書には言及されている。(創3:24、 出25:18ー22、 エゼキ10:14ー22、41:18ー20、 イザヤ6:2、6)
⑷ 主の使いの中には特定の名を持つ者もある。
- ミカエル(ダニエ10:13、21、12:1、 ユダ9、黙12:7)は戦いに関して現れ,ガブリエルは告知
などに現れる。(ダニエ8:16、9:21、 ルカ1:19、26)
2.新約聖書における主の使い
⑴ 新約聖書でも主の使いの記事は少なくない。(マタイ1:20、4:11、28:2ー5、 ルカ1:11ー38、2:9ー15、22:43、 使5:19、8:26、10:1ー8、12:7ー11、23、27:23、 黙1:1)
⑵ 最も一般的には被造物としての天使を意味する。(マタイ1:20、24、2:13、19、 ルカ1:11、13、18、19)
⑶ 人間のような性別を持たず,結婚することはない。(マタイ22:30)
⑷ その数は「軍勢」とか「軍団」と言われるほどに多く(マタイ26:53、 ルカ2:13)、その中に「かし
ら」もいる。(Ⅰテサ4:16)
⑸ 自由意志を持つ人格的な存在なので,主の使いの中には堕落した者もいる。(Ⅱペトロ2:4、 ユダ6)
⑹ その役職的機能は神の啓示の伝達者、メッセンジャーと考えられ,その点は旧約聖書の場合とほとんど同じである。(マタイ1:20、24、2:13、 使10:3、7、 ガラテ4:14)
⑺ イエスに仕え,イエスの働きを強める役割を果す神よりの使者のような存在としても理解されている。(ルカ22:43、 使5:19、 ヨハネ5:4、 黙1:1、2:1、8、22:1、16)
⑻ 「御使いはみな,仕える霊であって,救いの相続者となる人々に仕えるため遣わされた」ものである。(ヘブラ1:14)
⑼ 主イエスは子供に関連して「彼らの天の御使いたち」と言われた。(マタイ18:10)
⑽ 伝道者,牧師は,まさに「主によって遣わされた使者」であり,「主のメッセンジャー」
なのである。 (Ⅱコリン5:20、 エペソ6:20)