御霊の賜物(1/2)
- Ⅰペテロ4:11 -
新約聖書にある御霊の賜物のリストから,大別して二つのグループに御霊の賜物をまとめることができる。(ローマ12:6ー8,Ⅰコリン12:8ー10,28ー30,エペソ4:11) 神のことばを語る働きのための賜物と,実際的な奉仕のための賜物とである。
1. 神のことばを語る働きのための賜物
⑴ 「使徒」がある。 (「遣わされた者」の意,Ⅰコリン12:28,エペソ4:11)
① 使徒の名称は初め12使徒(ルカ6:13)に,次いでマッテヤ(使1:26),そしてパウロ(ローマ1:1,5,Ⅰコリン9:1,2)に与えられ,あるいはバルナバ(使14:4,14),アンドロニコとユニアス(ローマ16: 7),もしかするとアポロ(Ⅰコリン4:6,9),シルワノとテモテ(Ⅰテサロ1:1,2:6),そして主の兄弟ヤコブ(Ⅰコリン15:7,ガラテ1:19)にも,与えられた。
② 使徒の特別な任務は,使徒という名が示す通り,福音をまだ信じる者のいない世界に出て行って宣べ伝えることにあった。(ガラテ2:7ー9)
⑵ 「預言」がある。 (ローマ12:6,Ⅰコリン12:10)
① 新約の預言者のおもな働きは,ある特定の状況下で教会が知るべき重要な神のみこころを告げ知らせることであった。
② そのメッセージは,徳を高め,勧めをなし,慰めを与えるものであった。 (Ⅰコリン14:3)
③ また権威をもって特別の任務を与えるケースもあった。(使13:1,2)
④ 決して多くはないが,未來の出來事を予告する場合もあった。(使11:27,28,21:10,11)
⑤ その働きはおもに教会に向けられており(Ⅰコリン14:4,22),中には巡回の預言者もあったが(使11:27,21:10),コリントの教会がそうであったように,教会ごとに何人かの預言者
がいたと思われる。(使13:1)
⑥ 少数だが名前も残っている。(使11:28,13:1,15:32,21:9)
⑦ 預言の賜物に関連しそれを補足する賜物として,「霊を見分ける力」がある。(Ⅰコリン12:10)
⑧ 預言的に語られる言葉を解き,あるいは吟味して,聞く者にそれが神からのものであるか,偽りのものであるかを判別させることをした。(Ⅰコリン14:29,Ⅰコリン2:12ー16,Ⅰテサロ
5:20,21,Ⅰヨハネ4:1)
⑶ 「教え」がある。(ローマ12:7,Ⅰコリン12:28,29,エペソ4:11)
① 預言者と対照的に,教師の働きは神から新しいことを示されて語るのではなく,すでに確立したキリスト教教理を説明したり適用したりするものであった。
② その働きは地域教会に限定されていたと思われる。(使13:1,エペソ4:11)
③ 「知識のことば」は,人を励ます知識に富み知識そのもののようなことばであり,この賜物も教えの賜物と関連がある。(Ⅰコリン12:8)
④ 一方「知恵のことば」は霊的洞察力を表すもので,これはむしろ使徒や伝道者,また預言者に関係の深い賜物と思われる。(Ⅰコリン12:8)
⑷ 「異言」と「異言を解き明かす力」がある。(Ⅰコリン12:10,28,30)
① 福音書中に異言についての直接的な言及が見られるのは,マルコ16:17のみである。
② 使徒2章のペンテコステの記事には,弟子たちが聖霊に満たされ,外国語で話し始めたと受け取れる記述がある。(使2:4,6)
③ パウロ書簡における異言への言及の代表的な箇所は,Ⅰコリン12ー14章である。
④ その他の書簡の中で、異言についての言及であるかどうか意見の分れる箇所としては,ローマ8:26,エペソ5:19,コロサ3:16,ヘブル2:4等がある。
御霊の賜物(2/2)
- Ⅰペテロ4:11 -
「語る人があれば,神のことばにふさわしく語り,奉仕する人があれば,神が豊かに備えてくださる力によって,それにふさわしく奉仕しなさい.それは,すべてのことにおいて,イエス・キリストを通して神があがめられるためです。」(Ⅰペテロ4:11)
新約聖書にある御霊の賜物のリストから,大別して二つのグループに御霊の賜物をまとめることができる。(ローマ12:6ー8,Ⅰコリン12:8ー10,28ー30,エペソ4:11) 神のことばを語る働きのための賜物と,実際的な奉仕のための賜物とである。
2. 実際的な奉仕のための賜物
⑴ 「信仰」が挙げられる。(Ⅰコリン12:9)
① 救いを得させる信仰のことではなく,何らかの特別な目覚しいわざを結果する信仰のことである。(Ⅰコリン13:2,ヘブル11:33ー39)
⑵ 「いやしの賜物」がある。(Ⅰコリン12:9,28,30)
① 超自然的に健康を回復させる力である。(使3:6,5:15,16,8:6,7,19:11,12)
⑶ 「奇蹟を行う力」がある。(Ⅰコリン12:10,28,29)
① 様々な奇蹟を行わしめる能力そのものを指すと思われる。(マタイ11:20,21,23,ガラテ3:5)
- 以上の三つは力の賜物と呼ぶことができよう。
⑷ 「助ける者」である。 (Ⅰコリン12:28)
① 強い人から弱い人に与えられる援助のことで(使20:35),病んでいる人や貧しい人を世話する特別な賜物である.次の三つの賜物はこれに含まれるとも言える。
⑸ 「分け与える人」である。(ローマ12:8)
①「勧める人は勧めに精を出しなさい。施しをする人は惜しまず施し、」(ローマ12:8)
⑹ 「慈善を行う人」である。(ローマ12:8)
①「慈善を行う人は快く行いなさい。」
⑺ 「奉仕」である。(ローマ12:7)
①「奉仕の賜物を受けていれば、奉仕に専念しなさい。」(ローマ12:7)
- 以上の四つを同情の賜物と呼ぶことができる。
⑻ 「治める者」がある。(ピリピ1:1,Ⅰテモテ3:1ー13)
① 監督,あるいはそれ以上に執事の働きが,関連して考えられているに違いない。
⑼ 「指導する人」がある。(ローマ12:8)
①「指導する人は熱心に指導し、」
- 以上の二つは教会政治の賜物であると言えよう。