旧約聖書における神の国
- イザヤ9:5ー6 -
主イエスの神の国の教えは,旧約聖書の背景に深く根差している.旧約聖書は,唯一の生ける真の神が王として統治している事実を宣言している.
1. 宇宙の王として
⑴ 神は,天と地を創造し,これを御手の中に統治している.(創1:1,詩95:35)
① 万物の創造者なる神の統治について旧約聖書全体が明言している。
② 神の統治は、主イエスの神の国の教えの大切な基盤である.
⑵ 神の統治,神の王権は,豊かな広がりを持つ。(詩19:13)
① 人間の宗教的領域にかかわる。
② 人生の全領域に,また,全人類,すべての国々にかかわる。
③ 単に人間だけでなく,万物,宇宙全体にまで及ぶ。
2. イスラエルの王として
⑴ 全世界は,創造者なる神の統治のもとにあり,諸国民は意識するとしないとにかかわらず,神の恵みに支えられている.
⑵ イスラエルの民は,神の統治を意識的に受け止め,恵みに応答する使命を与えられた.この意味で,神はイスラエルの真実な王なのである.(申33:5,Ⅰサム12:12)
⑶ 現実のイスラエルは,神からの使命に応答し得ず,罪の中に陥り,約束の地から追放され,捕囚の経験をする.
⑷ 悲惨な現実の中から,神は民を解き放ち,救済者,王として御自身を現し,民を敵の手から救い,約束の地へ戻すのである.(イザヤ34:12,46:6,52:7,エゼキ20:33,ミカ2:1213)
3. メシヤ待望
⑴ 捕囚からの解放の望みは,シオンにおける神の諸国民統治と結びつく.(イザヤ24:23,ミカ4:67,ゼカ14:917)
⑵ この希望は,ダビデの末である油注がれた者(メシヤ)とかかわる。(イザヤ9:67,11:15,エレミ23:56,エゼキ34:2324,37:2425,ゼカ9:910)
⑶ この新しい理想的な統治者によって,神の統治が具体的に実現されるとのメシヤ待望となっていった.
⑷ 主イエスは,旧約聖書に一貫する神中心の宣言に固く立ち,生ける神が驚くべき規模と方法で救いのみわざを遂行し,御自身の統治を推し進める事実を,神の国の理念のもとに宣べ伝えている.