神の前に豊かになる
ルカ12:13-21
今朝はルカの福音書から、イエスとある依頼人との対話を選びました。「依
頼人」と言いました理由は、この人が、ちょうど弁護士の所へトラブルを持
ち込むような形で、事件の依頼に来たからです。これは、当時のユダヤの習
慣としては、決して非常識でも見当違いでもなくて、ラビと呼ばれた聖書の
教師たちは、そういう社会生活の問題やトラブルの助言や調停を、神から与
えられた使命の一部として扱ったものでした。ですから、14 節のイエスのお
言葉は決して、「見当違いの依頼を持ってくるな、無礼者!」という意味で
はなかったのです。イエスのお言葉は、この依頼人には、とても冷たく乱暴
に聞こえただろうと思います。普通なら「調停人」、「裁判官」であってお
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かしくない人が、「私は裁判官や調停人ではない」と突っぱねたのですから。
この依頼人は、「群集の一人」だったと言います(:13)。福音書での「群
集」という言葉の使い方から見て、この人はイエスの弟子ではなかったけれ
ども、今の今までイエスの教えを聞いていた聴衆の中にいたと見るのが自然
です。とすると、この人はイエスがここまで話してこられたこと……たとえ
ばすぐ前の10 行の内容は上の空で、ただただ自分の依頼を持ち出すタイミン
グを計っていたものと思えます。こういう人には、私たちも時々出会って驚
かされます。こちらの話を聞いていてくれるのかな……と思っていると、本
当は何か切り出す隙間を見計らっていて、ほんの0.何秒でも間が空いた瞬間、
さっと自分の話題に切り替える早業をします。その一つのこと以外、頭に無
いのですね。
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http://erinika.life.coocan.jp/data-TN/G225B.pdf