日本人の宗教意識

http://www.h5.dion.ne.jp/~biblroom/text/cust_idx.htm#mind

 

 今から10年前のNHKの統計調査によると、日本人宗教意識には次の5つの点が挙げられるそうです。
(1) 祖先とのつながりを重視(59%)
(2) 人間は弱い存在との意識(85%)
(3) 運命はどうしようもない(86%)
(4) 因果応報(87%)
(5) 困ったときの神頼み(60%)

これらは次の3つの傾向に要約することができるでしょう。

(1)多重信仰

日本の宗教人口は2億人との数字が出るほどで、大人が2~3の信仰を持っているという現実を示しています。そして大部分の人々はそこに疑問や不自然さを感じていないというのです。
(2)現世利益を追い求める
キリスト教でも「祝福」という現世での利益を語りますが、その根本には自己の罪との直面・悔い改め・贖いがあります。単なる現世利益のために宗教を利用する態度とは異なります。
(3)縁起かつぎを好む
まじないや占いなどの呪術を通して、たたりやさわりを避けようとする傾向です。自分の弱さと運命のあらがい難いことを意識してのことでしょうが、あらゆる方法で未来を知ろうとして、その結果神を深く悲しませるのです。イザヤ8:19-22には次のように書かれています。

「人々があなたがたにむかって『さえずるように、ささやくように語る巫子および魔術者に求めよ』という時、民は自分たちの神に求むべきではないか。生ける者のために死んだ者に求めるであろうか。ただ教とあかしとに求めよ。まことに彼らはこの言葉によって語るが、そこには夜明けがない。彼らはしえたげられ、飢えて国の中を経あるく。その飢えるとき怒りを放ち、自分たちの王、自分たちの神をのろい、かつその顔を天に向ける。また地を見ると、見よ、悩みと暗きと、苦しみの闇とがあり、彼らは暗黒に追いやられる。

 どうしてこのようなことになっているのでしょう?それは日本の宗教が、民俗宗教と呼ばれる仏教伝来以前からある、古くて教義や教団を持たない、原始的な信仰によって支えられているからだといわれています。牧師で、仏教大学と神道宗教学会での学びも修めた勝本正實氏は次のように言っておられます:

「インドの原始仏教と日本の伝来仏教とでは多くの違いがあり、…私は日本の仏教を学ぶことで仏教に吸収されたように見えながら、実は仏教をも変質させる力を持つ民俗宗教を知ったのです。」(勝本正實「日本の宗教行事にどう対応するか」いのちのことば社, p.15)

 仏教をも変質させるほどの根強いものを持った日本の民俗宗教とはどのようなものなのでしょうか。次にこの点を検討してみたいと思います。