預言者と牧会者
- イザヤ書61:1-3 -
[インマヌエル 下巻.8-20]
[イザヤ書61:1-3] 「」
1 神である主の霊が、わたしの上にある。主はわたしに油をそそぎ、貧しい者に良い知らせを伝え、心の傷ついた者をいやすために、わたしを遣わされた。捕われ人には解放を、囚人には釈放を告げ、2 主の恵みの年と、われわれの神の復讐の日を告げ、すべての悲しむ者を慰め、3 シオンの悲しむ者たちに、灰の代わりに頭の飾りを、悲しみの代わりに喜びの油を、憂いの心の代わりに賛美の外套を着けさせるためである。彼らは、義の樫の木、栄光を現わす主の植木と呼ばれよう。」
*** 旧約の預言者と新約の牧会者の違いを「預言者は共同体に向けて語り、牧会者は個人に向けて語った」と指摘する者もいる。では、旧約の預言者たちの働きは、今日の牧会者や聖徒たちに何を教えているのか。
1. 預言者は使者(Messenger)であった。
(1) 預言者は神から遣わされ、神のメッセージを宣言した。
「…主はわたしに油をそそぎ、貧しい者に良い知らせを伝え、心の傷ついた者をいやすために、わたしを遣わされた。 」 (イザヤ書61:1、本文)
(2) 牧会者は贖罪の使者である。したがってそのメッセージは個人的で直接的である。
○ 牧会者は神の御心を実践し、救いの道を教える。
「もし、私たちが自分の罪を言い表わすなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、すべての悪から私たちをきよめてくださいます。」(Ⅰヨハネ1:9)
2. 預言者は証人(Witness)であった。
(1) 預言者は真理を語る者(Truth Teller)であった。
○ 預言者は不義に抗い、神の国と義を守る証人であった。
「1 ...捕われ人には解放を、囚人には釈放を告げ、2 主の恵みの年と、われわれの神の復讐の日を告げ、すべての悲しむ者を慰め、」(イザヤ61:1-2) <ヨハネ福音書8:32>
(2) 牧会者はイエス・キリストに関するすべてのことの証人である。<使徒行伝26:16>
「」(使徒行伝2:32)
このイエスを神はよみがえらせた。わたしたちはみな、このことの証人である。
3. 預言者は弁護者(Pleader)であった。
(1) 預言者は民のために神に嘆願し、懇願する者であった。
「シオンの悲しむ者たちに、灰の代わりに頭の飾りを、悲しみの代わりに喜びの油を、憂いの心の代わりに賛美の外套を着けさせるためである。彼らは、義の樫の木、栄光を現わす主の植木と呼ばれよう。」(イザヤ書61:3)
(2) 牧会者はキリストに代わって聖徒たちのために祈る者である。
「そのためにも、私たちはいつも、あなたがたのために祈っています。どうか、私たちの神が、あなたがたをお召しにふさわしい者にし、また御力によって、善を慕うあらゆる願いと信仰の働きとを全うしてくださいますように。」(Ⅱテサロニケ1:11)
4. 預言者は慰め主(Comforter)であった。
(1) 預言者は警告する者であるだけでなく、慰める者でもあった。
「「慰めよ。慰めよ。わたしの民を。」とあなたがたの神は仰せられる。」 (イザヤ書40:1)
(2) 牧会者は勧告者であるだけでなく、励まし慰める者である。
○ 悲しみや苦しみ、絶望の重荷を背負わない人生はほとんどない。<マタイ福音書11:28>
「3 私たちの主イエス・キリストの父なる神、慈愛の父、すべての慰めの神がほめたたえられますように。4 神は、どのような苦しみのときにも、私たちを慰めてくださいます。こうして、私たちも、自分自身が神から受ける慰めによって、どのような苦しみの中にいる人をも慰めることができるのです。」(Ⅱコリント1:3-4)<エペソ書6:22>
5. 預言者は伝達者(Herald)であった。
(1) 預言者は良い知らせをもたらし、告げる者であった。
「良い知らせを伝える者の足は山々の上にあって、なんと美しいことよ。平和を告げ知らせ、幸いな良い知らせを伝え、救いを告げ知らせ、「あなたの神が王となる。」とシオンに言う者の足は。」(イザヤ書52:7)
(2) 牧会者は良い知らせ(Good News、福音)を伝えるために遣わされた者である。
「遣わされなくては、どうして宣べ伝えることができるでしょう。次のように書かれているとおりです。「良いことの知らせを伝える人々の足は、なんとりっぱでしょう。」(ローマ書10:15)
*** 預言者は証人であり、弁護者であり、慰め手であり、報道者である。今日の牧会者はなおさらそうである。なぜなら牧会者は預言者と全く同じ能力の源を持っているからである。すなわち主なる神の聖霊が牧会者に臨んだのである。それゆえ聖霊が与える権能によって、その使命をよく果たすことができる。
