前千年王国説(ぜんせんねんおうこくせつ、英:premillennialism)は、キリスト教における終末論の立場のひとつ。イエス・キリストが、黙示録20章に述べられている千年王国に先立ち、字義通り栄光の体を伴って再臨すると考えるもの。千年期前再臨説とも言う。再臨が千年王国以前に起こるという意味からこの名称で呼ばれ、後千年王国説および無千年王国説と立場を異にする。
再臨の細部とそれに関連した出来事の順序については、様々な見解に分かれるが、千年期前再臨説論者は、千年期がキリストの再臨の後、この世の終わりの前に来るという点で一致している。
千年王国について字義通りに聖書解釈をしている。黙示録20章の「千年」という数字は、実際に歴史上の一定の期間を指すと理解する。
目次
歴史
- 20世紀になると、2度の世界大戦を経て、楽観的進歩の哲学は廃れて、前千年王国説が現実をおびたものとし、注目された。
ディスペンセーション主義の前千年王国説
ディスペンセーション主義では、ジョン・ネルスン・ダービらの解釈では、聖書全体を七つの聖約期(ディスペンセーション)に分けて、千年期を最後の七番目の、王国のディスペンセーションに結びつけた。
解釈法
この見解は、極端な字義通りの聖書解釈とイスラエルと教会をはっきりと区別して考える解釈に立っている。
主張
キリストは初臨の際に、旧約聖書のダビデに約束された、イスラエルのための王国を提供したが、ユダヤ人は、メシヤであるイエス・キリストとその王国を拒んだ。その代わりに、異邦人の時である、教会時代というものが挿入された。しかし、再臨の際に、もう一度ダビデの王国を、イスラエルのために回復して下さる。千年王国はイスラエルのための国なので、教会のそこに招かれた客である。また、患難時代は、イスラエルに下る怒りの時なので、教会は患難に会うことなく、その前に空中に携挙される患難期前携挙説をとっている。
支持する神学者[編集]
歴史的前千年王国説
この見解は字義通りの解釈に立っているが、ディスペンセーション主義ほどは、字句の表面的な意味に用法にとらわれない。
解釈法
比喩的、象徴的にとられるべき箇所はあくまでも文章表現上の技法として理解される。例として、人の子が「雲に乗って来るのを見る」という表現は、「雲に乗って」は比喩的表現であるが、「来る」と「見る」は実際に文字通りそのことが起こると考えられる。
主張
歴史的前千年王国説はユダヤ民族を神の救いのご計画の目的としてではなく、むしろ手段として考える。救いの計画そのものは、全人類を対象にしており、その達成の過程において、ユダヤ民族が選ばれ、特定の役割を果たしたと考える。千年王国はキリストが支配される、キリストの王国であって、ダビデの王国の回復ではない。 この世はサタンが支配している王国であって、それに対して、来るべき新天新地は天の父の御国である。その間の過渡的段階において地上にキリストの千年王国が確立される。その千年王国において信仰者が願ってきた、正義と平和の完全な実現がかなえられる。
支持する神学者
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E5%8D%83%E5%B9%B4%E7%8E%8B%E5%9B%BD%E8%AA%AC