ハイデルベルク信仰問答 [問114~129]
*Shalom Mission シャローム宣教会:http://shmission.com/xe/shalom_jp
問114 それでは、神へと立ち返った人たちは、このような戒めを完全に守ることができるのですか。
答 いいえ。それどころか最も聖なる人々でさえ、この世にある間は、この服従をわずかばかり始めたにすぎません。とは言え、その人たちは、真剣な決意をもって、神の戒めのあるものだけではなくそのすべてに従って、現に生き始めているのです。
問115 この世においてはだれも十戒を守ることができないのに、なぜ神はそれほどまで厳しく、わたしたちにそれらを説教させようとなさるのですか。
答 第一に、わたしたちが、全生涯にわたって、わたしたちの罪深い性質を次第次第により深く知り、それだけより熱心に、キリストにある罪の赦しと義とを求めるようになるためです。第二に、わたしたちが絶えず励み、神に聖霊の恵みを請うようになり、そうしてわたしたちがこの生涯の後に、完成という目標に達する時まで、次第次第に、いよいよ神のかたちへと新しくされてゆくためです。
問116 なぜキリスト者には祈りが必要なのですか。
答 なぜなら、祈りは、神がわたしたちにお求めになる感謝の最も重要な部分だからです。また、神が御自分の恵みと聖霊とを与えようとなさるのは、心からの呻きをもって絶えずそれらをこの方に請い求め、それらに対してこの方に感謝する人々に対してだけ、だからです。
問117 神に喜ばれ、この方に聞いていただけるような祈りには、何が求められますか。
答 第一に、御自身を御言葉においてわたしたちに啓示された唯一のまことの神に対してのみ、この方がわたしたちに求めるようにとお命じになったすべての事柄を、わたしたちが心から請い求める、ということ。第二に、わたしたちが自分の貧しさと悲惨さとを深く悟り、この方の威厳の前にへりくだる、ということ。第三に、わたしたちがそれに値しないにもかかわらず、ただ主キリストのゆえに、この方がわたしたちの祈りを確かに聞き入れてくださるという、揺るがない確信を持つことです。それは、神が御言葉においてわたしたちに約束なさったとおりです。
問118 神はわたしたちに、何を求めるようにとお命じになりましたか。
答 霊的または肉体的に必要なすべてのことです。主キリストは、わたしたちに自ら教えられた祈りの中にそれをまとめておられます。
問119 主の祈りとはどのようなものですか。
答 天にましますわれらの父よ。ねがわくはみ名をあがめさせたまえ。み国を来らせたまえ。みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。われらの日用の糧を今日も与えたまえ。われらに罪をおかす者をわれらがゆるすごとく、われらの罪をゆるしたまえ。われらをこころみにあわせず、悪より救い出したまえ。(国とちからと栄えとは、限りなくなんじのものなればなり。アーメン。)
問120 なぜキリストはわたしたちに、神に対して、「われらの父よ」と呼びかけるようにお命じになったのですか。
答 この方は、わたしたちの祈りのまさに冒頭において、わたしたちの祈りの土台となるべき、神に対する子どものような畏れと信頼とを、わたしたちに思い起こさせようとなさったからです。言い換えれば、神がキリストを通してわたしたちの父となられ、わたしたちの父親たちがわたしたちに地上のものを拒まないように、ましてや神は、わたしたちが信仰によってこの方に求めるものを拒もうとなさらない、ということです。
問121 なぜ「天にまします」と付け加えられているのですか。
答 わたしたちが、神の天上の威厳については何か地上のことを思うことなく、その全能の御性質に対しては体と魂に必要なことすべてを期待するためです。
問122 第一の願いは何ですか。
答 「み名をあがめさせたまえ」です。すなわち、第一に、わたしたちが、あなたを正しく知り、あなたの全能、知恵、善、正義、慈愛、真理を照らし出す、そのすべての御業において、あなたを聖なるお方とし、あがめ、讃美できるようにさせてください、ということ。第二に、わたしたちが自分の生活のすべて、すなわち、その思いと言葉と行いを正して、あなたの御名がわたしたちのゆえに汚されることなく、かえってあがめられ讃美されるようにしてください、ということです。
問123 第二の願いは何ですか。
答 「み国を来らせたまえ」です。すなわち、あなたがすべてのすべてとなられるみ国の完成に至るまで、わたしたちがいよいよあなたにお従いできますよう、あなたの御言葉と聖霊とによって、わたしたちを治めてください、あなたの教会を保ち進展させてください。あなたに逆らい立つ悪魔の業やあらゆる力、あなたの聖なる御言葉に反して考え出されるすべての邪悪な企てを滅ぼしてください、ということです。
問124 第三の願いは何ですか。
答 「みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ」です。すなわち、わたしたちやすべての人々が、自分自身の思いを捨て去り、唯一正しいあなたの御心に、何一つ言い逆らうことなく聞き従えるようにしてください、そして、一人一人が自分の務めと召命とを、天の御使いのように喜んで忠実に果たせるようにしてください、ということです。
問125 第四の願いは何ですか。
答 「『われらの日用の糧をきょうも与えたまえ』です。すなわち、わたしたちに肉体的に必要なすべてのものを備えてください、それによって、わたしたちが、あなたこそ良きものすべての唯一の源であられること、また、あなたの祝福なしには、わたしたちの心配りや労働、あなたの賜物さえも、わたしたちの益にならないことを知り、そうしてわたしたちが、自分の信頼をあらゆる被造物から取り去り、ただあなたの上にのみ置くようにさせてください、ということです」。
問126 第五の願いは何ですか。
答 「われらに罪を犯す者をわれらがゆるすごとくわれらの罪をもゆるしたまえ」です。すなわち、わたしたちのあらゆる過失、さらに今なおわたしたちに付いてまわる悪を、キリストの血のゆえに、みじめな罪人であるわたしたちに負わせないでください、わたしたちもまた、あなたの恵みの証をわたしたちの内に見出し、わたしたちの隣人を心から赦そうとかたく決心していますから、ということです。
問127 第六の願いは何ですか。
答 「われらをこころみにあわせず、悪より救い出したまえ」です。すなわち、わたしたちは自分自身あまりに弱く、ほんの一時立っていることさえできません。その上わたしたちの恐ろい敵である悪魔やこの世、また自分自身の肉が、絶え間なく攻撃をしかけてまいります。ですから、どうかあなたの聖霊の力によってわたしたちを保ち、強めてくださり、わたしたちがそれらに激しく抵抗し、この霊的戦いに敗れることなく、ついには完全な勝利を収められるようにしてください、ということです。
問128 あなたはこの祈りを、どのように結びますか。
答 「国とちからと栄えとは、限りなくなんじのものなればなり」というようにです。すなわち、わたしたちがこれらすべてのことをあなたに願うのは、あなたこそわたしたちの王、またすべてのことに力ある方として、すべての良きものをわたしたちに与えようと欲し、またそれがおできになるからであり、そうして、わたしたちではなく、あなたの聖なる御名が、永遠に讃美されるためなのです。
問129 「アーメン」という言葉は、何を意味していますか。
答 「アーメン」とは、それが真実であり確実である、ということです。なぜなら、これらのことを神に願い求めていると、わたしが心の中で感じているよりもはるかに確実に、わたしの祈りはこの方に聞かれているからです。